瞬間英作文のやり方とコツ、その効果の計測方法を徹底解説!

瞬間英作文について話す前に...

はじめまして、瞬間英作文アプリInstaEnglishを米国で創業したYutaroです!この記事では瞬間英作文のやり方とコツ、その実際の効果に関する私たちの考えを書いていますが、その前段として、瞬間英作文という学習法に私自身が価値を見出した背景に関して、冒頭で少しだけ触れさせてください。

英語教育ではスピーキング力を向上させるために「一にも二にも話して、話して、話しまくれ!」という、とにかく英会話量をこなすしかないというアドバイスが広く受け入れられています。英語に触れる機会が多ければ多いほど英語力は伸びるのは事実であるため、「とにかく話せばいい」というアドバイスに一定の納得感もあり、私自身もオンライン英会話に始まり、短期・長期留学と一通りの道を辿ってきました。しかし、闇雲に英語に触れる生活の中で、自身の英語スピーキング力の成長速度に満足できず、根性論的な英語スピーキング練習が果たして本当に効率的な方法なのかという疑問を持ち始めました。

その疑問への答えを見つけるために、第二言語話者がスピーキング力を高める方法を科学すべく、在籍しているNorthwestern Universityの言語学者たちとの議論を開始しました。その結果、最適な勉強方法として辿り着いたのが意外にも「瞬間英作文」でした。


瞬間英作文の基本的なやり方

瞬間英作文とは、与えられた母語(日本語)の文を読み、それと同じ意味となるような英語文を瞬時に頭の中で構成し、声に出していくトレーニングです。

例えば

「この商品を半分にしてもらえますか?」

という日本語文が与えられた場合、

「Can you cut this in half?」

という英語文を瞬時に作成し、発話します。そして、自分が正しく英文が言えたかどうかを確認し、不正解だった場合は、間違いの理由と正しい回答例を確認します。これを1サイクルとして、繰り返し様々な日本語文を瞬間的に英語に訳していきます。1問あたり数秒から長くても30秒ほどでこなせるので、短い時間で多くの英語表現を練習できる特徴があります。

これだけ聞くと、単純に英語翻訳を繰り返すだけに見えるかもしれませんが、実は瞬間英作文の世界はもう少し奥深く、間違った方法で瞬間英作文を練習すると、その学習効果は半減してしまいます。瞬間英作文がなぜスピーキング力向上に効果的なのか?その背景を理解することで本当に効果的な瞬間英作文のやり方が見えてきます。


なぜ瞬間英作文がスピーキング力向上に有効なのか?

英語や日本語に限らず、人が言葉を話す際、頭の中で次の3つのプロセスが順番に処理されます。

  1. 概念化 (Conceptualization)

  2. 文章化 (Formulation)

  3. 音声化 (Articulation)

発話における3つのステップ、概念化、文章化、音声化を説明。

発話における3つのステップ (Kormos, J., 2006. Speech production and second language acquisition.)

①概念化

1つ目のプロセスである概念化では、自分の考えや伝えたいことを頭の中で定めます。 例えば「車が来ていて危ない」という文章を発話する前に、頭の中で「車」「来ている」「危ない」といった概念が形成されます。この時点ではそれぞれの概念に「車」や「危ない」といった具体的な言葉はまだ付与されていません。概念化した状態は頭の中で文字や音声のない映像が流れているイメージが近いです。そのため、このプロセスは話者の言語能力とは関係が薄い部分となり、日本語だと概念化できるが、英語だと概念化できないといった課題は基本的には生じえません。

例えば、「英会話レッスンで話すことが意外とない...」という悩みは、この概念化のプロセスに起因する問題であり、本人の英語力に関わらず生じえる課題です。こうした問題を抱える方は、例えば英会話レッスンを受ける前に、何を話したいか、日本語でもいいので、しっかりと事前準備することを強くおすすめします!

②文章化

2つ目のプロセスである文章化では、概念化で形成された考えをあなたが話す言語の文法に則り、適切な単語を使って意味の通る自然な文章を作ります。先程の例では「車が来ていて危ない」という文章を頭の中で構築することに当たります。

例えば、「言いたいことを英語で話せない...」という悩みは、この文章化でつまづいていることになります。例えば「ハラミ肉を4つに袋分けしてください」という日本語では簡単に話せる概念をいざ英語で話そうと思うと、なかなか言葉が出てこないといった経験は多くの方が経験されているのではないでしょうか?

③音声化

最後に音声化では、その文章を適切な発音、イントネーションで声に出して発話します。「クルマガ キテイテ アブナイ」というように個別の音を繋ぎ合わせて、適切なイントネーションで一連の音として出力します。

例えば、「発音がジャパニーズ・アクセントで上手く伝わらない...」という悩みは、この音声化のステップで起こる問題です。日本人の英語の発音は「ジャパニーズ・アクセント」あるいは「サムライ・アクセント」と呼ばれることもあり、独特な発音の癖が指摘されることが少なくありません。例えば、日本語は常に子音の後に母音(あいうえお)が続くため、「smart」を発音しようとすると、「su-ma-to」といった本来不要な母音uとoが挟まっています。あるいは、英語のRとLは日本語では「らりるれろ」の音域に含まれてしまっているため、話し分けるのも聞き分けるのも難しく感じることが多いと言われています。

言語学習で鍛えるべきは「②文章化」と「③音声化」の2ステップ

文章化と音声化の2ステップが言語能力に依存する

母語(日本語)を流暢に話せる人が英語のスピーキング力を上げたい場合、鍛えるステップは「②文章化」と「③音声化」の2つです。前述の通り、「①概念化」は言語に依存しない思考プロセスなので、言語学習という文脈においては気にする必要がありません!(英語はあくまでコミュニケーションツールなので、価値ある内容を概念化する訓練も言語学習という文脈外において当然重要です!)

一方「②文章化」と「③音声化」は、日本語だと不自由なくできるけれど、英語になると途端にできなくなるという言語能力に依存した課題として、多くの人が苦労するポイントです。

瞬間英作文は「②文章化」を鍛えるのに最適!

瞬間英作文は文章化の訓練に効果的

瞬間英作文は「概念を文章化する」プロセスを訓練するのに非常に効率的な手法です。瞬間英作文では、英訳すべき概念が問題文として母語(日本語)で表現され、瞬間的に内容を頭の中で概念化できるため、「①概念化」の手間を大きく省略できます。その結果、「②文章化」のみに特化した効率的な練習が可能になります。つまり、瞬間英作文は正しい語彙、正しい文法で英語文を組み立てる能力を効率的に高めることが出来るトレーニングと言えます。


瞬間英作文をするときの4つの注意点

瞬間英作文が文章化のプロセスの訓練として効果的だというお話をしてきましたが、その効果を最大化するために注意すべきポイントが4つあります。

注意点① 基礎的な英語力を身につけてから始める

瞬間英作文の効果を最大限に得るためには、中学英語で習う文法と単語をマスターしていることが望ましいです。具体的には、教材で示された回答例の英語文を読んだ際に、文法的にも語彙的にも不自由なく理解できる英語力が必要です。このレベルの文法・単語知識が不足していると、日本語文で得た概念を英語文に文章化しようとしても、適切な英語文を構築するための土台となる知識が足りず、正確な英文を瞬時に作ることが難しくなります。

例えば、「He gave me 400 grams of meat.」という文章を読んだ際に、S(he) + V(gave) + O(me) + O (400 grams of meat)という文型であることが分かり、各単語の意味も容易に把握できる必要があります。瞬間英作文は「読めば分かる」英語を「自分で話せる(文章化できる)」英語に進化させる訓練方法なので、練習している英語がそもそも「読めば分かる」英語になっているのかどうかが重要です。瞬間英作文を始める前に、中学校で習った英語の基礎的な知識がしっかり身についていることを確認しましょう。

注意点② 答えの丸暗記に頼りすぎない

瞬間英作文の目的は、概念から英語文を作るプロセスを鍛えることです。丸暗記した英語を発話するときは、概念から文章化するプロセスを通らずに、脳内に保存された記憶の中から答えを思い出す「記憶想起」という別のプロセスが実行されます。言語学習において丸暗記も時として必要であり、特によくあるフレーズ等はむしろ丸暗記と記憶想起の繰り返しにより訓練することが効率的です。この場合、単語帳やフラッシュカード等、暗記に最適なフォーマットでの訓練がより適しています。

一方、丸暗記だけでは概念から英語を組み立てる力が育たず、少し違う表現になっただけでうまく英語文が作れず、実際の会話ではうまく英語が話せないという状況に陥りがちです。より幅広い概念を自由に英語で表現できるようになるために、丸暗記した英文の記憶想起に終始するのではなく、基本的な文法や語彙力(丸暗記したフレーズも含む)を使いこなしつつ、概念から文章を構築する訓練にフォーカスすることが望ましいです。

注意点③ 概念化を省略するには日本語文の短さが鍵!

瞬間英作文のメリットの1つは、表現したい概念があらかじめ日本語で与えられることで、「概念化」の手間を大きく削減できることです。ここでポイントなのが「頭を使わなくてもパッと見ただけで一瞬で概念を理解できる日本語」が問題文として提供されていることです。例えば、次の日本語を読んでみてください。

「400gのハラミ肉を4つに袋分けしてください」

おそらく多くの方はこの一文をしっかりと読んで、意味を理解したと思います。

続いて、次の日本語を見てみてください。

「ハラミ肉をください」

この一文はパッと見ただけで、意味を把握できたはずです。一般的に人が一瞬で理解できる文字数は13-15文字程度だと言われています。実際に1つ目の文章は22文字、2つ目の文章は13文字で構成されています。このように瞬間英作文において「概念化」の煩わしさを排除するためには、日本語文は15文字以内に収まっていることが重要になってきます。

その上で、「400gの」や「袋分けして」といった表現は、次のように複数の瞬間英作文の問題に分けることで、幅広い英語表現を身につけていきます。

「400gのお肉をください」

「お肉を袋分けしてください」

確かに瞬間英作文は名前に「英作文」と付いているため、学校の英語の授業で取り扱ったように、日本語をじっくりと読んで、1単語ずつ丁寧に逐次翻訳するようなイメージを持ってしまいがちです。しかし、瞬間英作文はそうした一般的な「英作文」とは全く逆のアプローチを取っており、日本語文を読むことで瞬間的に表現すべき概念を理解し、その概念から英語文を組み立てることがこのトレーニングの本質です。瞬間英作文のコツは、問題文を瞬間的に見て、その意味を理解した後は、日本語文から目を離して英語文を発話することです。

ちなみに前述の英語はそれぞれ次のように表現できます!

  1. 400gのお肉をください: Please give me 400 grams of meat.

  2. お肉を袋分けしてください: Please pack the meat into separate bags.

  3. 400gのハラミ肉を4つに袋分けしてください: Please pack 400 grams of skirt steak into 4 bags.

注意点④ 使える英語表現の幅を増やすために、幅広い概念を英訳しよう

最後の注意点は、文章化できる概念のバリエーションを増やすことです。例えば「お腹が空いています」だけを文章化できたとしても、「腹ペコすぎるから、次に見つけたレストランに入ろう」を文章化できないと、本当に自分が伝えたい概念を英語で相手に伝えられられません。

実は英語で表現できる概念の幅を増やすプロセスにおいても、瞬間英作文は非常に効果的です!例えば、あなたはオンライン英会話で、貴重なレッスン時間の大半を毎回自己紹介の時間に使っていたり、同じようなやりとり、偏った表現方法でこなしてしまったりしていませんか?何度となく繰り返してきた自己紹介や、外国人チューターの母国と日本の文化の違いなど、「いつもと同じ話」であれば、ある程度言いたいことが言える人も多いと思います。しかし、その練習だけではあなたが表現できる概念の幅を効率的に広げられません。

一方、瞬間英作文では、概念、すなわち自分が話すべき内容が問題文によって与えられるため、あなたがこれまで練習し続けてきた「いつもと同じ話」とは異なる、まだ自分が自在に使いこなせていない内容を英語文に変換するという訓練を強制的に行えます。

気をつけるポイントとして、まだ慣れ親しんでいない英語表現をピックアップして瞬間英作文に挑戦する必要があります。既に上手く英語で表現できる日本語文を瞬間英作文するだけでは、前述のオンライン英会話の例のように、文章化できる概念のバラエティはなかなか増やせません。瞬間英作文をテーマにした書籍やアプリを使って、慣れ親しんでいない概念を取り扱う問題を自分でピックアップ・リスト化して、繰り返し練習していきましょう。


瞬間英作文を練習した結果、スピーキング力は伸びた?スピーキング力を計測する3つの指標

ここまで瞬間英作文は概念を文章化する訓練に効果的だというお話をしてきました。その効果に納得して、「よし、今日から瞬間英作文をやるぞ!」と決意を固められた方がいらっしゃれば、とても嬉しく思います!...が、いきなり闇雲に瞬間英作文を始める前に、自分のスピーキング力を数字で計測することの重要性について、是非理解を深めてもらえればと思います。

冒頭でもお伝えしましたが、私も英語スピーキング力を上げるために「とりあえず話しまくれ!」といった根性論的なアドバイスに大きく影響を受けて、具体的な課題・目標設定をすることもなく、ひたすら英会話に時間を費やした時期がありました。それでスピーキング力が向上したのは確かなのですが、明らかに効率的ではないことは自分でも気付いていました。「どの能力を伸ばすために、何をすべきなのか」が全く見えていなかったからです。

If you can not measure it, you can not improve it. (数値化せずに改善はできない)

スピーキング力向上にあたり、正しい努力の方向性が明らかにするためには、その能力を数値化し、現在地と目標値を定めることが必要不可欠です!では、そもそもスピーキング力はどのように評価でき、また数値化できるのでしょうか?

第二言語習得に関する研究領域では、その言語を使いこなせているかを評価する上で、複雑さ(Complexity)正確さ(Accuracy)流暢さ(Fluency)の三つの側面が重要であると考えられ、それぞれの頭文字をとってCAF指標と呼ばれています。(Housen, A., & Kuiken, F., 2009. Complexity, accuracy, and fluency in second language acquisition.)。

  1. 複雑さ:使用する文法や語彙の多様性、文章の長さを指し、どれだけ高度で豊富な=複雑な表現ができるか

  2. 正確さ:文法や語彙の誤りの少なさを示し、どれだけ正しく言語を使えているか

  3. 流暢さ:発話スピードに着目し、どれだけスムーズなコミュニケーションができるか

学術的にはそれぞれの指標を数値化する方法はいくつか提示されていますが、直感的に分かりやすく、かつ努力の方向性が見えやすいと感じた私なりの定義は次の通りです。

  1. 複雑さ:一文に含まれる単語数。例えば、「What do you think?」は4語、「What do you think about the issue?」は7語で、後者の方がより高い複雑さと評価されます。

  2. 正確さ:文が正しいかどうかの2値判定。例えば、「What does he think?」は正解、「What do he think?」は誤り。

  3. 流暢さ:一分間に話せる単語数(WPM: Words per Minute)。例えば、「What do you think?」の4語を4秒で話せた場合、WPMは60語/分。

これらの定義は学術論文を読み解く中で、私が勝手に単純化した定義ではありますが、学習者が理解して、意識しながらスピーキング訓練ができる直感的な数値指標だと思っています!この3つの数値指標を踏まえて、瞬間英作文を活用する場合は次のようなイメージです。

  1. 「複雑さ」能力を鍛えたい場合:より長文の日本語文の瞬間英作文に挑戦して、平均単語数/文を引き上げていく。

  2. 「正確さ」能力を鍛えたい場合:まとまった数の瞬間英作文問題集(100問くらい)を繰り返し練習して、正解率を100%(100問中、100問全て正解)まで引き上げる。

  3. 「流暢さ」能力を鍛えたい場合:正しく瞬間英作文できる問題のみを対象にして、ストップウォッチを使って問題を見てから発話が終了するまでの時間を計測。「発話単語数 × 60秒 / 発話にかかった秒数」でWPMを算出。ネイティブが心地よく感じる150WPM(語/分)を達成するまで、それぞれの問題を繰り返し練習する。

3つの数値指標をどの順番で伸ばすのか?

これら3つの数値指標は、正確さ→流暢さ→複雑さの順番で伸ばしていくのが最適だと考えています。例えば、英語文の長さが5-6語くらいで簡単な英単語のみが含まれる(=複雑さが最も低い)瞬間英作文を100問分、用意します。その上で次のプロセスを踏んでいきます。

  1. 正確さを伸ばす:全ての100問を正確に発話できるように繰り返し練習する。

  2. 流暢さを伸ばす:正解した100問を順番に150WPM(語/分)の速度で言えるように繰り返し練習する。

この2つのステップをクリアしたら、少し英語文の長い(=複雑さが少し上がった)瞬間英作文を新たに100問分、用意します。そして、上記と同様に100問全てを正確に発話できるようにした上で、150WPMの速度で発話できるように持っていきます。

CAFをどの順番で伸ばすのか?

このように、一定の複雑さの中で正確さと流暢さを伸ばしていき、そこをクリアしてから複雑さを徐々に引き上げていくことで、3つのCAF指標を満遍なく包括的に成長させられます。...とは言いつつ、このプロセスを実際に履行しようと思うと、意外と難しいと感じる人も多いように思います。はい、皆さんの心の声が聞こえてきます...

瞬間英作文の問題を自分で用意して、CAF指標を毎回自分で計測するなんて面倒すぎてできない...!

私自身が科学的に瞬間英作文の有効性を感じて、理想のプロセスに辿り着いてから、いざ実際に取り組もうと思ったときに次のような課題(というよりただただ面倒な下準備)に直面しました。

  1. 自分のレベルに合った瞬間英作文の問題セットを作るのも大変...

  2. 用意された回答例と自分の答えが異なる場合、自分の英語が正確なのかどうかを判別するのも大変...

  3. 毎回ストップウォッチ片手にWPMを計測するのも大変...

何とかこの面倒なプロセスを自動化できないかと試行錯誤を繰り返した結果、誕生したのが「瞬間英作文アプリInstaEnglish」です。他の誰かが使ってくれるかどうかは分からないけど、とりあえず自分自身が必要で使いたいからという、ビジネスマンとしては風上にも置けない意思決定により、クラスメイトを巻き込んでスタートしたプロジェクトでした。


瞬間英作文アプリInstaEnglishではCAF指標をどう扱っているのか?

まず前提として、InstaEnglishでは「正確さ」と「流暢さ」の向上を優先的に注力する設計にしています。瞬間英作文では与えられた概念(日本語)を正しく英語で表現できるようになることが「正確さ」の向上に直結し、英語表現をより早く瞬間的に発話できるようになることが「流暢さ」に繋がります。

一方で瞬間英作文で「複雑さ」を伸ばすためには、より難しい長文の日本語の問題を利用することになりますが、その場合、ステップ1の「概念化」における「言いたいことを理解する」脳処理の負担が大きいため、学習効率が落ちてしまいます。スピーキング力の向上のプロセスとして、まず「言いたいことを正確にスムーズに言える」ようになることが第一ステップであり、その後に「洗練された表現・文章構造で表現する」という成長過程を辿ります。そのため、瞬間英作文InstaEnglishアプリでは、「話したいけど話せない」という悩みを抱える英語中級者の方が「正確さ」と「流暢さ」を優先的に引き上げられるように、あえて短文の日本語文のみを問題として提供しています。

「正確さ」 = あなたの英語が正しいかどうか?

まずあなたの英語が正確かどうかの計測に関しては、InstaEnglishのエンジニアリングチームが実装した自然言語処理システムを用いて、

  1. 日本語の意味(概念)を正しく捉えられているか?

  2. 文法は正しいか?

  3. 使われている単語は適切か?

の3つの観点から評価しています。こちらで用意した回答例と比較するのではなく、あくまで概念として提示された日本語文と学習者の英語のみを評価対象することで、1つの問題に対して様々な回答を正解として取り扱えるようになっています。これにより「用意された回答例と自分の答えが異なる場合、自分の英語が正確なのかどうかを判別するのも大変...」という問題を解決しています。

「正確さ」 = Active Vocabulary?

さて、問題別に「あなたの英語が正しいか」という2値判定が学術的な「正確さ」の定義と近しいものになりますが、これを学習時の指標とすることは学習効率の観点で最適ではないと考えています。極端な例を挙げますが

「What does he think?」

「What does he think about it?」

という2文が問題としてあった場合、1つを正しく言えたら「正確さ」1ポイント、2つとも正しく言えたら「正確さ」2ポイントとなります。しかし、1つ目が言えるようになる成長度合いと、1つ目が言えるようになった状態から2つ目を言えるようになる成長度合いを比べると、後者が圧倒的に低くなります。

こうした状態で、例えば1,000問の瞬間英作文の問題が与えられたとして、1,000問正解 = 「正確さ」1,000ポイントを達成することに努力を傾けることは効率的とは言えず、量をこなせば何とかなるといった「闇雲さ」が再び滲み出てきています。

ここで救世主として登場するのがActive Vocabularyという、問題ではなく単語ベースで「正確さ」を評価する手法です。具体的には正しく言えた英語文に含まれる単語をActive Vocabularyと定義し、その単語数をカウントすることで「正確さ」を評価しています。例えば

「What does he think?」

という英語文を正しく言えた場合、Active Vocabularyは

  1. what

  2. do

  3. he

  4. think

の4単語として記録されます。つまり、ここであなたは「正確さ」4ポイントを獲得できます。

もし仮に次の文章を正しく言えた場合、

「What does he think about it?」

  1. what

  2. do

  3. he

  4. think

  5. about

  6. it

の6単語がActive Vocabularyとして記録されますが、新しく言えるようになったのは

  1. about

  2. it

の2単語のみです。つまり、この英語文であなたが獲得できる「正確さ」ポイントは2のみです。このように、Active Vocabularyを「正確さ」指標として利用することで、各文章で伸ばせる「正確さ」指標をより正確に測定できることが分かります。

クイズでActive Vocabularyを評価する

瞬間英作文アプリInstaEnglishで問題に正解した際に登録されるActive Vocabulary

この上で、瞬間英作文アプリInstaEnglishでは日常会話の約90%をカバーできる2,000単語をActive Vocabularyとして達成することをゴールに掲げています。さらにこの目標を最短で達成するために、InstaEnglishでは新たに獲得できるであろうActive Vocabularyが多いものを「おすすめ問題」として推薦しています。

「流暢さ」 = WPM (Words per Minute)

一方、「流暢さ」指標は定義通りシンプルに一分間に話せる単語数 = WPMを指標として採用しています。InstaEnglishで瞬間英作文を解く場合、日本語問題文が表示されてから、自動でタイマーがスタートします。そして回答が終わったタイミングでかかった時間を自動的に計測し、もし回答が正しかった場合にWPMが自動計測される形となっています。これにより、「毎回ストップウォッチ片手にWPMを計測する」という煩わしさから完全に解放されます!

瞬間英作文アプリInstaEnglishで問題に正解した際に自動計測されるWPM

加えて、ネイティブが心地よく感じる150WPMを目指すことをゴールとしているので、それ未満の記録となった問題は次のように「発話スピードを上げるためのおすすめ問題」として表示されます。

発話スピードを上げるためのおすすめ瞬間英作文問題

発話スピードを上げるためのおすすめ瞬間英作文問題

正確さ(Active Vocabulary)と流暢さ(WPM)の両方の指標において、こうしたおすすめ問題を出題することで、「自分のレベルに合った瞬間英作文の問題セットを作るのも大変...」という課題を解決できるようにしています。


一日10分だけでもいいから、毎日継続して瞬間英作文にチャレンジしよう!

最後に英語表現を自分のものにするためには、やはり日々の反復練習は不可欠です。その重要性は皆さんも耳にタコができるくらい聞いてきたと思います。頭では重要性は分かっている、でも実践できない...ここに関しては私もウルトラCの解決策を持っているわけではありません。でもその苦労を少しでも取り除けるのが瞬間英作文なのです。瞬間英作文は1問あたり数秒から長くても30秒ほどでこなせるため、毎日5分から10分だけ瞬間英作文に浸る時間を是非用意してみてください。トイレに篭る間、あるいは通勤中の間など、毎日のルーティンに組み込めると、後は苦労を感じずに毎日続けられることが多いです。瞬間英作文アプリInstaEnglishのご利用者も毎日10問から20問ほど、日々チャレンジしてくれています!

Yutaro

InstaEnglish創業者。米国イリノイ州在住。Northwestern University MBA&MS。University of Illinois Urbana-Champaign コンピュータサイエンス修士。

日本生まれ・日本育ちでしたが、高校時代に全国模試の英語で全国16位の成績をとる等、英語力に強い自信をもっていました。しかし、米国留学時に圧倒的なスピーキング力不足を痛感、大きな挫折を経験します。

その後、誰もが耳にする「スピーキング力を伸ばすためには、ひたすら英会話するのが一番!」というアドバイスを真に受け、英会話サービスに1000時間以上の時間を投資。残念ながら、目に見える成長を感じられず、ひたすら英会話に取り組むべしという根性論に大きな疑念を抱きます。

そこで第二言語習得を専門とする言語学者と、科学的に最適だと考えられる英語学習方法を模索。英語ネイティブを含めた多言語話者のチームメンバーの協力の下、InstaEnglishの学習方法を確立します。InstaEnglishでは、Active Vocabularyと発話スピードを数値化し、その向上を最短で達成できるように「瞬間英作文」を進化させた新たな学習法を提供します。